厚塗りに変えたら、目指す絵に少し近づいた話

厚塗りのメリット

突然ですが最近描いたこちらの二次創作イラスト。

画力についての賛否はさておき、「色使い」に関しては今までより求めてたものに近く、わりと気に入ってます。

今までと違う点は、実はこれらが「厚塗り」で描かれたものということです。厚塗りをした結果、目指す絵柄の色使いにとても近づきました。

「なんで厚塗りで目指す絵柄に近づけたの?」「そもそも厚塗りは難しいんじゃないの?」と思った方のために、ここではその理由と具体的なメリットを解説したいと思います。

「手法としての厚塗り」は難しくない

厚塗りというと「下書きなしでざっくり塗っていき、レイヤー1枚ですごくリアルな絵を描く描き方」だと考える人が多いです。

が、この記事で僕が言う「厚塗り」はもっとシンプルに「上から塗りつぶすように描くこと」を指します。絵柄はリアルじゃなくても良いし、パーツごとにレイヤーを分けることもあります。

では具体的にどのような手順で描いたのか? というと、こうです。

① 鉛筆ツールでラフ
② ラフレイヤーの下に下塗りレイヤー追加
③ 下塗りレイヤーに乗算・発光レイヤーなどで影・ハイライトを追加
④ ①〜③のレイヤーを結合して厚塗り

①〜③まではカラーラフの作成なので厚塗りはせず、普通にレイヤーを分けます。こうして全体の色合いや影とハイライトを決めてから厚塗りをすることで、「頭で立体を構成しながらザクザク塗る」みたいな高度なことをやらなくても、ラフにしたがって細部を整えるだけで「上から塗りつぶして描く」ということが可能になります。

厚塗りのメリット

ではそもそも、なぜ上から塗りつぶして描く「厚塗り」をしただけで、目指す絵柄に近づけたのか? それは「線画」と「塗り」の境目がなくなったからです。

言葉だけではいまいちピンとこないかもしれませんが、これにより以下のメリットが生まれます。

・変な部分をすぐ直せる
・線の太さを色々試せる
・色や小物の追加が楽

詳しく解説します。

メリット① 変な部分をすぐ直せる

厚塗りだと「なんか変だな」と思ったところをすぐに直せます。消しゴムや変形機能で整えて、あとは周りに線を引くだけでOK。簡単です。

一方、線画と塗りレイヤーを分けている場合は大変。線画レイヤーに移動し、線画を修正して、下塗りレイヤーに移動し塗り範囲を整えて、影レイヤーに移動し…と中々骨が折れます…

これだけ大変だと、「なんか変…でも直すの面倒だし、このままでいいや」ってなりませんか? そう、本当は「目指しているものと違う」ことに気づいているのに、無意識にそれを無視してしまうのです。

これは初心者に非常によくありがちな問題です。厚塗りだとこのストレスが少ないので、修正に対するハードルが下がります。だから目指す絵に近づきやすくなるのです。

メリット② 線の太さを色々試せる

僕が苦手なものに「線画の太さと色」があります。上手いイラストって、線画がちゃんと馴染んでますよね。あれが出来ないのです。

これはなぜかというと「イラストの見栄え、色、パーツごとに最適な線の色や太さは異なる」からです。プロなら「大体こうだろう」とイメージできるでしょうが、経験の少ない僕らには検討もつきません…

とはいえ、塗ったあとであらためて線画をいじるのも少し面倒ですよね。線画→塗りという手順に慣れている人は、なんか作業が逆行しているように感じるかもしれません。

そこで厚塗りです。厚塗りであれば塗りながら線画を色々試せます。今まで面倒だった試行錯誤がスムーズにできるようになるため、より目指す絵に近づきやすくなります。

メリット③ 色や小物の追加が楽

身体の構造やポーズはおかしくないのになんか見栄えがしない…ということはよくあります。そういう時疑うべきは「配色・構図」。一部に色を加えたり、小物を追加することで改善することがあります。

でも後から追加するのは面倒ですよね? というわけでまたも厚塗りです。厚塗りならば「線画→塗り」じゃなくて「線画=塗り」いやむしろ「塗り→線画」と描くことすら普通になります。

レイヤーを細かく分けてた頃は「今からここに小物や背景描くのめんどくさいなぁ」と思ってたことも、心理的抵抗感が減るわけです結果、構図や配色も今までより手軽に多くのものを試すことができるようになり、目指す絵にも近づきやすくなります。

オススメは好きなイラストを見ながら厚塗りすること

もう一度メリットを整理するとこう。

・変な部分をすぐ直せる
・線の太さを色々試せる
・色や小物の追加が楽

要は、下手な絵を上手い絵に近づけるための「試行錯誤」や「悪あがき」がしやすいということです。

でも初心者の方は「どこがダメなのかわからない」ってこともあります…。

そういう時は「好きなイラストと見比べながら描く」のがオススメです。「好きなイラストの絵柄にどれだけ似ているか」だけを判断基準に「ダメな部分」を考えてみてください。

パクりになってしまわないか心配になるでしょうが、相手に迷惑をかけたり著作権を違反しなければ基本大丈夫です。この問題はデリケートなので深く考えず法律に任せましょう。

厚塗り = 最強ではない

というわけで、色々厚塗りのメリットを話しました。が、一つ注意してほしいのは「イラスト描くなら厚塗りが最適解」という話ではないってことです。

絵柄によっては普通にアニメ塗りしたほうが綺麗に仕上がるし、描くスピードも早いです。じゃあなんで厚塗りを勧めているのかというと、「試行錯誤」なしにアニメ塗りをしてもたいてい上手くいかないからです。

下手な人はラフや線画の段階で「どう描けば魅力的になるのか」一切イメージできてません。だから初心者の描いた絵は、どれだけ資料を集めてどれだけ上手い人のメイキングを参考にしようが、微妙な絵になることが多いです。(たまにまぐれで良いのができる時はありますが)

そこから一歩先のレベルに進みたいなら、どうして目の前の絵が下手に見えるのかをよく考え、上手い絵との差を見つめて、より魅力的になるように修正するしかないんですよね。厚塗りはその「修正すること」のハードルを下げてくれるのでオススメという話。

どうでしょう。試したくなりましたか?

そんな皆さんに朗報ですが、実は上で紹介したやり方で描いたイラストのメイキングを動画で撮ってみました。そのイラストがこちら、アズールレーンのキャラクター、URブリちゃんです↓

URブリ

ちょっと容量がでかくて編集に苦労しそうなのですぐには公開できませんが、準備はしてます。動画ができたら僕のFANBOX(https://fujii-shino.fanbox.cc)で無料公開するので、いかに「修正」「試行錯誤」が大事なのかを見て感じて、参考にしてくれると嬉しいです。

※追記 公開しました!→ https://fujii-shino.fanbox.cc/posts/1688015

ではでは。

10 COMMENTS

藤依しの

この記事は「線画と塗りを分けない厚塗りをメイキングの一部に取り入れることで、修正がしやすくなるよ」という趣旨です。

いわゆる「厚塗りっぽいイラストのメイキング解説」ではないということをご理解いただけたらなと思います。ちなみに「厚塗り」は元々油絵で用いられる「塗り重ねる」という手法を表すものなので、言葉の使い方自体は合っています。

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藤依しの

はい、水彩がメインです。
水彩境界のついたリアルな水彩ではなく、色が混ざりやすく描いた跡が少しぼけるタイプの水彩ブラシですね。中でも透明度が薄く、はっきり色がつくものをメインに使ってます。
他には、Gペン・エアブラシなんかもよく使います。

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匿名

ありがとうございます。
「ここを塗るときはこのブラシを使う」っていうのはある程度決めていますか?

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藤依しの

そこまで決めてはないですね〜
はっきり描きたい時は濃いブラシ、ぼかしたい時は水彩やエアブラシくらいしか考えてないです(汗

ちなみにその2つはよくセットで使います。影も濃いブラシで描いてから部分的にぼかしたり、逆に水彩でざっくり塗ってから境界部分を濃いブラシでなぞったりします。

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匿名

線画がおかしいと思っても最後まで仕上げてしまい、微妙な出来のまま次のイラストを描き始めていた自分には厚塗りはいいかもしれないと思いました。

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藤依しの

変だとわかるならその場で直したほうが良いと思います!
最初から厚塗りにしなくても、線画を描いて最後まで仕上げたあと、レイヤーを結合して変な場所を上から整えるだけでもだいぶ変わったりしますしね。

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