今まで絵を描いたことがない初心者が最初にぶちあたる壁。それは『何からやればいいのかわからない』です。
これに関しては色んな答えがあると思いますが、最も簡単でわかりやすい解答は「とりあえずトレースしてみる」です。
「トレースでは上達しない」「描ける気になるから良くない」みたいな意見もありますが、それでも僕は『今までまともに絵を描いたことがない』のであれば、トレースしてみたほうが良いと思います。

なぜかというと、『トレース自体が良いから』ではなく『トレースできない状態が良くないから』です!

どういうことだ!?
トレース練習とは?
初心者さんは「トレースってなんやねん」と思ってるはずなので、まずは簡単に解説します。
トレースは、絵をなぞる練習!
小学生の頃、ひらがな・カタカナ・漢字をなぞる練習があったのって覚えてますか?トレース練習は、これのイラストバージョンだと思ってください。
プロの絵を透かして、上から線をなぞるのが『トレース練習』です。それ以上でもそれ以下でもありません。

ちなみにトレースのことを『トレス』という人もいますがどっちも同じ意味です
模写との違い
よく似た練習方法に『模写』があります。
模写とは、写真やイラストを見て、それを他の紙に描き写すことです。
なぞるのではなく、見て描き写します。なのでトレースとは違うわけですね。
ちなみに模写についてはこちらでも解説しています。

トレース練習はやったほうが良い?
すでにある程度イラストが描けるなら、やらなくてもいいです。
ただ、初めて絵を描く人や、模写が上手くできない人はトレース練習をやっても良いと思うんですよね。
あなたが『トレースができる人』なのか『トレースができない人』なのかで、『最低限の集中力があるかどうか』を確認できるからです。
『集中して絵が描けない』という状態では、模写が難しいし、闇雲に絵を描いても中々上達できません。
たとえば勉強に集中できない状態のまま勉強を続けても、満足に問題を解けませんし、学力も上がりづらいじゃないですか。それと同じです。
というわけで、集中できてないと感じるなら、トレース練習してみましょう。
トレース練習の効果
トレース練習は、最低限の能力を身につけるためにやります。
最低限の能力というのは、小さい頃から絵を描いていれば自然と身についてしまうのですが、これから始める初心者にとってはそうもいきません…
なので、ここでちゃんと紹介します!
最低限の集中力がつく
トレースができない人は、めんどくさがって適当に線を引いたり、そもそもお手本の線をちゃんと見てなかったりします。
当たり前ですが『集中してお手本をなぞる』ことさえできれば、トレースは簡単なんですね。
もし、集中力が足りてないと感じるなら、トレース練習で集中することに慣れてください。
腕の使い方を学べる
トレースができない理由の2つ目が、『線を引くのに慣れていない』ということです。慣れてないので焦って手が震えたり、変に腕を浮かせてブレブレの線を引いてしまったりします。
当然、そんな状態でイラストを描くのは難しいので、まずはトレース練習で慣れるのが良いわけです。
自信がつく
絵を描いたことがない人は、自分が何か「イラスト」と呼べるものを描けるビジョンすら浮かばないと思うんですよね。
トレース練習を通じて、一枚の絵を完成させれば、「自分でも線さえ引ければちゃんとイラストが描けるんだ」ってことがわかるので、モチベーションになると思います。


まぁ、線が引けるだけじゃイラストは描けないんですけど
それでも絵を描いている自分が想像できないよりはマシです!
トレースのやり方
さて、ここからは実際にトレースをやってみたいと思います。手順はとても簡単ですが、初心者のために順を追って説明します。
①道具を準備する
まずは、トレースするのに必要な道具を準備します。
残念ながらトレースは、鉛筆と紙だけではできません。
というわけで、ここではトレース用の道具をいくつか紹介します。
下から光を透かせることで、下の絵をなぞりやすくしたのがトレース台です。
トレースのためだけに買うのは勿体ない気がしますが、トレース台を一つ買っておけば、そのへんのコピー用紙でトレースし放題です。
薄い紙を使うことで、光がなくても下の絵をなぞることができます。そのために作られたのが、トレーシングペーパー。
安いので、とりあえず試したいならこれで良いでしょう。
分厚いイラスト集や、光を透かしずらい厚紙でもトレースしやすいのは利点です。
PCやタブレットでもトレースはできます。
やり方は、元の画像や写真をペイントツールに取り込み、透明度を下げた状態で、レイヤーを重ねてなぞるだけ。
一番手軽ですが、ツールとペンタブレットや液タブなどが必要です。


ちなみにiPadや大きめのスマホでもいいぞ!
②トレースする!
トレースする準備ができたら、実際にトレースしてみましょう!
今回は、デジタル環境でのトレースをメインに説明します。


どんな絵でも良いですが、自分の好きな絵、輪郭線がはっきりしている絵を選んだほうがやりやすいと思います。
トレース台やトレーシングペーパーでトレースする場合は、印刷をしましょう。


イラストを半透明の状態にします。
トレース台の場合は、トレース台にイラストをセットします。
トレーシングペーパーの場合は、元のイラストにトレーシングペーパーをかぶせてください。


簡単!説明不要!
(背景とかは面倒ならなぞらなくても良いよ)


完成したら、元のイラストと見比べてみるのが大切です。
そっくりにできているなら、安心してください。ちゃんとトレースできてます。


もし上手くできていないと感じるなら、どこがダメなのかを考えてください。そしたら何かが見えてくるはずです


イラッとくる言い回しやめろ
トレースのコツ
集中することはもちろんなんですが、それ以外にもコツがあります。
なぞる時、一発でキレイな線が引けるように力入れすぎてないですか?
よく、絵が上手い人ってみんな線を引くのが上手いんだと勘違いされてるんですけど、メイキング動画とか見てるとそうでもないことがわかります。
たとえば曲線を描く時、こんな描き方をしてたり。


『一発でキレイに』ではなく、シャッシャと線を何度かにわけて引いてたりします。もし、ながーく線を引くのが苦手なら、力を抜いて線を継ぎ足しするように引くと楽になったりします。
トレース練習はどれくらいやれば良い?
似てると思える程度にトレースできれば終わりにして大丈夫です。
明らかに線の場所が間違ってるとか、線がブレているとかなら、やり直したほうが良いですね。


とはいえ、この記事をちゃんと呼んだ人は一回目で上手くトレースできると思う。僕自身もトレースが下手な人は今まで数人しか見たことないですからね
注意点!


トレースをするにあたって、いくつか注意点があります!
トレースだけでは上達しない
たまに「初心者にオススメの練習はトレース!」みたいなこと言ってる人がいますが、ぶっちゃけ誇張表現です。
確かに、トレースは上達の足がかりにはなりますが、トレースだけやっても上達しません。
トレースをやれば上達できるのではなく、できないとヤバいからやってみたほうが良いというわけです。
ネットには上げないほうが良い
トレースすると、やりようによっては完全なコピー作品が作れます。
本人にとってはあくまで練習なのですが、周りから見れば「盗作」のように見えたりします。
言ってしまえば著作権違反ですね。
著作権は本人がどうかより、権利者がどう思うかの部分が大きいので、余計な波風を立てたくないなら、ネットには上げないほうが良いと思います。
というわけで、以上『トレース練習の効果とやり方』でした!
トレースするときにただなぞるのではなく、一旦アタリをとり、裸をかき(見えない部分は想像で)、髪や服をなぞるといった風なかたちをとれば模写よりも簡単かつ、模写にも劣らない練習方法になると思います。
アタリや見えない部分の肌など、元のイラストに表れてない部分を想像で描くのは良い練習法ですね!
トレースはできるけど模写はできないような状態なら、やってみても良いかもしれません。