30秒ドローイングは効果がない!? なぜ上達できないのか解説

30秒ドローイングでは上達できない理由

30秒ドローイングって知ってますか?

30秒で切り替わる画像を素早く模写することで、『対象を素早く写す』力をつける練習法です。
『ポーズマニアックス』というサイトが有名ですね。

参考 ポーズマニアックスhttp://www.posemaniacs.com

噂によれば、色んなポーズを短時間で写しまくることで、絵を上達させることができるらしい…!

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しの

…のですが、ぶっちゃけ僕は『役に立たない』と思っています…。今回はその理由を詳しく語っていきます!

どうして30秒ドローイングは意味がないのか?

観察力が鍛えづらいから

絵で一番大切なのが、観察する力です。
絵における観察とは、対象を注意深く見つめ特徴を探ることですね。

では、30秒ドローイングでこの観察力を鍛えることができるかというと、僕はできないと思っています。
どうしてかというと、たった30秒で注意深く見つめることは経験上無理だからです。

30秒ドローイングでは「速く描かなきゃ」という焦りが生じて、『頭の中に残っている印象』を元に描いてしまいがちなんですね。

上達したいならむしろやるべきことは逆で、頭の中のイメージを排除して、見ているものから特徴を学ぶことが必要です。

特徴を学ぶから、リアルな表現ができるし、流行りの絵柄に合わせることができるし、憧れのイラストレーターに近づくことができるわけです!

もちろん上達する気がなく、自由に絵が描ければ良いと思うなら、『頭の中のイメージ』だけを頼りに絵を描くのも一つの手です。
実際にそうやって活動しているアーティストもいるでしょうしね。

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しの

まぁでも、それなら「30秒ドローイングで練習をしよう!」と思うこと自体が間違いな気もしますが…

改善点を見つけづらいから

練習というのは、やって終わりじゃありません。

デッサンは、デッサンしたあとに「どこが悪いか?」を見つめ、次回のデッサンでそれを改善しようとするから、上達するのです

ところが30秒ドローイングの場合、「どこが悪いか?」を探すのが非常に難しいです。

デッサンや模写であれば、最終目的は本物そっくりに描くことなので「本物と比べてどう違うか?」を基準にすれば初心者でも改善点を見つけることができます。

しかし30秒ドローイングの場合は『30秒という制限』がある以上、そもそも「どこまで似せることができるか?」がイマイチわからないのです…

実際、『30秒ドローイング』で検索すると練習成果がたくさん出てきますが、人によって重視している部分がバラバラで、どれが上手くてどれが下手なのか初心者には判断がしづらいです。

30秒ドローイング

目指すべき完成形がわからない以上、改善点を見つけるのは困難になります。
こうなるともう闇雲に続けるしかなくなるんですね…

役に立つかわからない練習を闇雲に続けるより、改善点がわかりやすいデッサンや模写をしたほうが楽だと思うんですよ。

速く模写できることに価値がないから

僕が練習に求める効果はめっちゃシンプルです。
そもそも練習はなぜするかというと『練習でやったことを本番でできるようにするため』なんですね。

だから僕は「模写は資料を正確に写すため」「筋肉を学ぶのは筋肉にリアリティを持たせるため」みたいな、至極当たり前の説明しかしないわけです。

で、同じ理屈で30秒ドローイングを見ると、『30秒ドローイングとは30秒で資料を写すための練習』になります。

ところで、『30秒で資料を写せること』に価値があるのかどうかですが
正直な話、僕は「価値はない」と思ってます。

だって、30秒で資料を写そうが1時間で資料を写そうが、結局絵というのは完成品の見栄えで価値が決まるじゃないですか。

たとえば、あるイラストの一部分に描かれているアクセサリーが、実は30秒で描かれているということがわかったとして、それを理由に絵の価値が上がったりしません。

多くの人にとって、それは『どうでも良いこと』だからです。

もし「30秒ドローイングを続ければ、皆から称賛される絵師になれる!」と思っているならそれは間違いです。

「この絵の下書きは何秒で描かれたか?」なんて基本的に誰も気にしてないのです。

「右脳の活性化で絵がうまくなる」に信憑性がないから

もう一つ、これはコメントにて教えていただいたのですが
30秒ドローイングのメリットとして「強制的に右脳を活性化させることで絵の上達に役立てる」ことができるらしいです。

ただ僕はこの話、信憑性がないと思っています。

右脳派は創造的・左脳派は論理的みたいな話ってたまに聞きますけど、そもそもこれって脳科学者の間では意見が分かれているんですよね。

右脳と左脳は機能が違うだけで、右脳が発達しているから「この人は創造的」だとかそういうものではないらしいです。

単に「ある行動では右脳が働き、ある行動では左脳が働く」というだけの話なのです。ここに個人の差はありません。(ちなみに絵においては右脳は『全体を見る機能』、左脳は『部分を見る機能』を持っているそうですね)

では、絵において『全体を見る』ことと『部分的に見る』こと、どちらが重要なのかというと、僕的にはどちらも重要だと思うんですよ。

完成度の見栄えを気にし配色することはもちろん大切ですが、ある部分の影色がどのように変色していくのか、何色を選択し、どうぼかせば立体的に見せるのかを考えることも大切です。

だから「お前は右脳が発達しているから絵が上手いのだ!」と言われても疑問なんですよね。僕は絵を描く際、全体を見ることもあれば部分的に見ることもありますから。

そんなわけで「右脳優位にすることで絵がうまくなる説」自体が怪しいと思っています。少なくとも僕は、科学的にも経験的にも『確実にその通りだ!』と言えないですね。

30秒ドローイングに意味があるとしたらこれ!

というわけで、僕的には30秒ドローイングは『やらなくて良い練習』なんですけど、一方で何の効果もないわけではありません。

あくまで『上達効果を見込んでやるのが間違い』なだけで、練習することで学べるものはあります!

毎日描く癖がつく

上手くなるための練習ではなく、短時間でできることを利用した『毎日続ける癖をつける練習』としてやるなら、僕はアリだと思います。

模写でも真面目にやれば1時間程度はかかりますし、デッサンなんて半日以上かけるのが普通です。
一方で、30秒ドローイングであれば、10体描いても5分しかかかりません。

毎日忙しい学生や会社員であれば、時間がかかる練習はハードルが高いでしょうから、そういう時にはうってつけですね。

ただ、最終的に『上達したい』という目的があるなら、一週間程度続いた段階で、もっと役に立つ練習に移行したほうが良いと思います。

全体の流れを掴むことの大切さが学べる

30秒で上手く模写するのには限界があるのですが、全体の印象を正しく捉えることができれば、それっぽく見せることは可能です。

なので、30秒ドローイングを続けることで、全体の印象を捉えるのが大切だということに気付ける可能性はありますね。

ただ、これはあくまで気付けるだけで、『全体の流れを掴む練習』にはならないと思います。

先程も話したとおり、30秒ドローイングではどうしても焦りが出てくるので、たとえ『全体の流れが大切だ』とわかっていてもそれを正確に捉えるのは難しいのです…

そのためだけに30秒ドローイングを繰り返すくらいなら、時間を使って写真を模写し、どうすればもっと上手く描けるか分析するほうが良いです。

がむしゃらに1000回素振りするより、素振り1回ごとに自分のフォームを確認し、改善していくほうが効率が良いのと同じですね。

そもそも、闇雲に続ける練習は間違い

30秒ドローイングで検索すると、『〇〇ヶ月続けてみた!』とか『〇〇日経過!』みたいな記事がヒットするんですけど

そういうの企画としてやるならともかく、本気で上達したいと思ってやるのは間違いだと思うんですね。

練習においてとくに効率が悪いのが、『闇雲に同じこと続ける』という方法です。
練習は『できないことを改善するためにやるもの』なので、それを無視したまま続けても効果はでません。

具体的な例を出すと

「30秒で人物を写したいけど、上手くできないから30秒ドローイングをしよう!」だとか「今まで三日坊主だったけど、それを改善するため簡単な30秒ドローイングを毎日やろう!」別に良いと思います。

ただ、「絵が上手くなりたいから、毎日30秒ドローイングをしよう!」は間違いです。

これでは目的と手段の整合性が取れてないです…
30秒で模写できることと、絵が上手いことは関係ないですからね!

もし30秒ドローイングをやるなら、「どうしてやるのか?」を論理的に説明できるようにしておきましょう。

というわけで以上、『30秒ドローイングは上達効果がない』という話でした!

12 COMMENTS

匿名

公式によると

>複雑な視覚情報を高速に表示することで、強制的に脳の言語機能をオーバーヒートさせます。 このため右脳優位の状態を保った状態で、ドローイングの練習を行うことができます。

また右脳をONにする方法とあわせて、短時間でモノの特徴を把握する力、最小限の情報量(線の数)で、情報を伝達する力を養うこともできます。

さらに初心者の場合、短時間で数多くのスケッチを行うことで、スケッチを日常の一部にする癖をつけられるので、幼少時にあまり絵を描かなかった人も、経験不足を効率よく補うことができます。

以上が30秒ドローイングのメリットだそうです。

自分も個人的には初心者の頃にはお世話になりましたがある程度上達した今となっては本当に効果があったのか疑問に感じ、いつからかポーマニをやらなくなっていました。

結局この練習に疑問を感じるこという気付きを得るのが肝だと思います。
これだけをやってても意味ないなと気づくまでがお絵かきチュートリアルだと思いました。

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藤依しの

「本当に効果があるのか?」を自分で考える余地があるという点では、無駄なことは何一つないのかもしれませんね。

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匿名

確かに,やみくもにやっていては何事も意味を成しませんね。でも、瞬時にいきいきとした正しい線を導き出すことを身に着けるための手段としてはとてもいいことだと思います。ねちねち描けば描くほど線は死んでいきますからね。

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藤依しの

画力を上げるのではなく「描き慣れる」ということに関しては一定の効果があると思いますね。
これは「一日一絵」とか「ワンドロ」とかも同じです。

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匿名

30秒、15秒、10秒のクロッキーやってますがかなり上達が早くなってきました。ただクロッキーだけでは不十分だと思うので、別途時間をかけて観察して絵を書いたり、人体などの構造を勉強しています。クロッキーは何かと並行することで効果があるのかと思います。クロッキーのおかげか線も綺麗になってきました。

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藤依しの

線が綺麗になるというのは意外な効果ですね…!
確かに線がふにゃふにゃになってしまう人は、クロッキーを通じてたくさん線を引けばそれが改善できるかもしれません。

もしよければ、参考までにクロッキーをどれくらいの期間続けたか教えてもらっても良いですか?

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匿名

数年停滞したいましたが、クイックドローイングやらに出合って、やっと進歩することができ、30秒ドローイングを久しぶりにやってみたところ、この記事が目に止まりました。

色々な意見を目にしましたが、個人的には短い時間で描くことはとても意味があると思います。

長時間かけた場合と違って、詳細は省いて、最低限分かるだけで描ききる事で、ラフではありますが、描いている本人にとってその瞬間の感動を伝えるツールとして使う事ができるように感じています。

スポーツ観戦しながら、スケッチしようとしたら、何度も見直すのは無理ですし、一瞬の感動でサクッと描ききらないといけないといけないはずです。

そんな感じで、瞬間を映しとる練習にはなるか思います。短時間だと描くのも楽ですし、描いてたら勝手に上手くなっていくのではと思うところです。

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藤依しの

「一瞬の感動でサクッと描ききらないといけないといけないはず」
中々良い着眼点ですね…!
かの有名なドラクロワも似たようなことを言っていたという記事を見たことがあります。
確かに画家やアーティストのように、その時感じたこと・今見ている風景を情熱的に描くのであれば「素早く模写すること」も必要になるかもしれませんね。

ただ、「描いてたら勝手に上手くなる」と考えるのは少し楽観的な気がします…
もしスケッチで感動を伝えたいのであれば「スケッチで感動を表現できるアーティストを真似する」「描いたスケッチをSNSに上げ反応を見る」「何が足りないのか分析し、より的確な表現ができるよう改善する」ことはやったほうがいいと思います。
要は闇雲に30秒ドローイングを繰り返すのではなく、ちゃんと「一瞬の出来事をスケッチで表現する」という練習をすべきかなと、僕は思います。

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とくめい

流石に30秒ドローイングは効果がないとか絵は上手くなれないは言いすぎでしょうね…何か月も30秒ドローイングしかしないような練習法は効率悪いと思いますけど、それは30秒ドローイングの効果の有無とは別の問題のように思います。

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藤依しの

確かに厳密に言うと「多少クロッキーができるようになる」とか「毎日描く癖がつく」という効果はあるので、少し言い過ぎたかもしれませんね…
ただやっぱり30秒で描く練習ってイラストや絵画制作に大きく影響するとは思えないですし、実際30秒ドローイング続けてイラストが上手くなった人を見たことがないのと、僕自身やってみてあまり効果あるようには感じられなかったので、初心者に変な誤解を与えないために「効果がない」と言わせていただいています。
少なくとも「イラストが描きたい」のであればあえてやる必要は薄いかなと思ってます。

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とくめい

言語中心で認識し生活する文化圏の人間は、成長とともに脳で画像を認識する力が落ちていますので、どんなに手が器用な人でもイラストを描くためには脳の訓練が必要です。「多少クロッキーができるようになる」こともイラストを上達させるために意義があり、クロッキーが難しいイラスト初心者は30秒ドローイングをやってみる価値があると思います。
ずっと30秒ドローイングを続けるような人が絵が上手くなりにくいのは「能力向上に合わせた変化が少ない訓練をずっと続けている」という別の問題で、30秒ドローイングの問題ではないでしょう。単純な初歩の訓練ならほぼ当てはまります。
初心者の最初の一歩になりえる訓練に対して効果が無いと断言する方が変な誤解を与えているように思いました。

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藤依しの

まぁそうですね。「10分間も集中してクロッキーできないから、まずは30秒からはじめる」のはアリだと思っています。
僕も目的をはっきりさせて練習するなら無駄な練習は一つもないと思います。
実際記事でも「目的と手段の整合性が取れているなら30秒ドローイングをやってもいい」と言ってますね。

ただ、多くの初心者は30秒ドローイングをそう捉えてないように感じます。
「とにかく30秒で描きまくれば、勝手に脳が覚醒して勝手に絵が上達する!」みたいな説明が多いですし、それを真に受けてチャレンジしてる人もいます。
すでにそう誤解されているのが現状なので、この記事は多少の誤解を生むことは承知で強めのタイトルにしているというわけですね。

一応ちゃんと本文を読んでもらえれば「30秒ドローイングはマジで何の役にも立たない」という内容じゃないことは理解できると思うので、そこは許してください…

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