絵を描く人が読んだ『かくかくしかじか』の感想。 「描け」という言葉の重み

かくかくしかじかの感想
藤依しの

ななしちゃんよ…

ななしちゃん
ななしちゃん

はい?

藤依しの

『描け』…!

ななしちゃん
ななしちゃん

なんだ突然偉そうに。

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今更『かくかくしかじか』を読んだよ

藤依しの

kindleでセール中だったので買ってみました。

ちなみに僕は、普段絵を描いて過ごしているので
感想も絵描き目線です。

作品そのものよりも『この漫画から何が学べるのか?』を中心に書いています。

ななしちゃん
ななしちゃん

ニッチなやつですね。

藤依しの

というわけで絵を描いてない人には共感しづらいかも?
あと一応、直接的なネタバレは避けます。(間接的にはします)

それでもよければどうぞ。

エッセイだけど、そうじゃない

この漫画、『かくかくしかじか』
作者である『東村アキコ』先生が、どのように漫画家になったのかを
コミカルに語った作品になります。

本名で登場する作者『林 明子』や恩師である日高先生友人の二見さんなど
癖のある登場人物が多く、展開がやけにドラマチックです。

なので、読んでる途中で「創作なんじゃないか?」と思えてくるんですけど
この漫画はあくまで自伝であり、ジャンル的にはエッセイということになります。

藤依しの

要は作者の体験をそのまま描く系ですね。
良くも悪くも。

だから後半はちょっと後味が悪い感じになってます。
実際、それで評価が悪くなっている部分もありますね。

ただ、そんなこと作者はわかってるわけで
それでも描いたということは
やっぱり伝えたいものがあったんだと思うんですよ。

それは作者と先生の関係から察することができる
『弱い人と、強い人の対比』です。

世の中は圧倒的に『弱い人』のほうが多い

藤依しの

僕たちは基本的には弱い人です。
だから楽なほうに流されるし
弱いことを隠し、強く見せるために群れをなすのです。

今でこそ人気漫画家である作者ですが
この漫画の中での『東村アキコ』も基本的には弱い人でした。

せっかく入った美大で遊びまくったり、卒業後も自己中心的だったり
摩擦を避けるため曖昧な言葉ではぐらかすシーンも多く
1巻~5巻を通して、人間的に成長したのかというと
とてもそうとは言えません。

対象的に強い人として描かれているのが、作者の恩師である『日高先生』です。

自分にも他人にも嘘はつかないし、自分勝手で暴力的だけど意志が強く
どれだけ大変な状況でも動くことをやめない。
ある意味ヒーローのような存在です。

そんな強い人の教える絵画教室に、作者が通うところから話は始まり
美大合格から挫折、そして漫画家への転身と展開していくわけですが…

その中で『先生』の発するメッセージは常にシンプル

『描け』でした。

描かなきゃ何もはじまらない

描け

ネット上にはあらゆる絵の描き方が転がっているし
このブログでもちょいちょい紹介しています。

ただ、結局はいくら描き方を覚えたところで
『描かなきゃ何も始まらない』わけです。

辛くても面倒でも、描きたいものがなくても
絵を描きたいなら、まずは描くしかない。

もちろん、みんな頭ではそれがわかっているけど
そこで実際に描き始めることができる人って
中々いないんじゃないかと思うんです。

『漫画家になりたい』『アニメーターになりたい』って口には出すけど
じゃあ実際に「漫画を描いたことがあるか?」「アニメを作ったことがあるか?」って聞かれると
口ごもりする人もいるんじゃないかと。

色んな言い訳が出てくると思います。

「気分が乗らない」
「まだ下手だから」
「やり方がわからない」

多分、「ある日才能が開花して、あるいは上手くスカウトされて、表舞台に立てる日が来る」というイメージが
頭のどこかにあるんだと思います。

確かに
ある日突然『神が降りてくる』こともあるかもしれません。

藤依しの

最近はネットビジネスも盛んですよね。
Web漫画家やYoutuberやブロガーなど
ある日突然、有名人になる人もいます。

ただ、そうやって急に成功したように見える人って
本当は成功するずっと前から「やり続けている」んですよ。

気分が乗らなくても、下手でも、やり方がわからなくても
試行錯誤しながら、とにかくやり続けてるんですね。

絵も同じで、どれだけやる気がなくても
結局は『描かないと何もはじまらない』と思うんです。

『かくかくしかじか』での日高先生が
時に暴力に訴えてまで『描け』と言ったのは
その意識があったからじゃないかと思うんですよ。

根性論のようだけど、結構的を射てると思います。

描き続けるためにはどうすれば良いか?

『描く』のが大切と言われても
「それができないから困っているんじゃないか!」
と思いますよね。

藤依しの

ぶっちゃけ、この『かくかくしかじか』を読んでも
『描き続けるための具体的な方法』について知れるわけじゃないです。

ななしちゃん
ななしちゃん

まぁあくまで『エッセイ』であって
『自己啓発本』じゃないですからね。

藤依しの

というわけで僕なりにちょっと考えてみました。

さっきも伝えたとおり『かくかくしかじか』の中で
作者『東村アキコ』は人間的にすごく成長したかというと
どうもそれは違うような気がする。

むしろ最終巻では
自ら『ダメ人間な面』をアピールしていたような印象を受けます。

だから多分
「あの先生のおかげで人間として成長できた」
ということを言いたいのではなく

「先生の存在が心の中に残り続け、それが自分を前進させている」

ということを言いたいんじゃないかと思う。

実際、『かくかくしかじか』の最終巻において、こんなセリフがあります。

ムカつくことがあっても
イライラしても
自分の漫画が面白くないって言われても
絵が下手だと言われても

——(中略)——

いつも
描いている時は
私の頭の中で
先生の声がする

『かくかくしかじか』 5巻 119~120ページ

「描き続けるためにはどうすれば良いか?」

僕がこの漫画を読んで浮かんだ答えは
『心に強い人を持つこと』です。

それは、親であったり先生であったり、憧れの人や偉人であったり
あるいは、理想の自分であったりします。

自分の中に師を持つこと

もしかしたら、『かくかくしかじか』を読んだ人の中には
「この作者は良い師にめぐり合えて運が良かったんだなー」
なんて思う人もいたかもしれません。

藤依しの

そういう受け止め方も別に良いと思います。

ただ僕は、大切なのは『師を持つ』ことであって
それは必ずしも身近な人間である必要はないと思ってます。

たとえ師弟関係でなくても、一方的に尊敬するだけでも良いし

その対象が、過去の偉人であっても
自分の中にしか存在しない完璧超人でも良いと思います。

ただ大切なのは、その相手に哲学的な信念を見出し、常にその声を聞くことです。

僕らは弱いので
いつだって辛いことからは逃げたいですし、楽な方に流されます。

そんな時、「本当にそれで良いのか?」と問いかけ
時に叱ってくれる『心の師』を持つことができれば
多少辛くても夢に向かって頑張ることができるのではないでしょうか?

藤依しの

なんか宗教チックになってきましたけど
僕が『かくかくしかじか』を読んだ感想はこんな感じです。

ななしちゃん
ななしちゃん

普段絵を描いているぶん、色々通じるものがあったんですな。

藤依しの

序盤こそ、ドラマチックな展開が続くものの、それだけでは終わらないところに『エッセイらしさ』があります。
クリエイター志望にとっては、色々と考えさせられるものがあるはずなので
ぜひオススメしたい一冊ですね!

kindle版もあるので、気になった人はどうぞ!